|
矯正歯科
矯正歯科治療は現在より良い機能と良い形態をより調和した状態で求めることを目標にする医療だと思っています。私の考える矯正歯科とは「機能は形態に優先し、形態は機能に従う」・・・平たく言えば“良く噛めて口元は自然で顎の状態に不都合が無く全身状態も悪くなく毎日が過ごせること”を目標とする歯科の一分野です。美容歯科や、よく言う審美歯科との最大の違いはここにあり、機能と形態に対する比率の差ではないかと思っています。人の体が生きていると言うことは機能している事です。人体にとって機能を無視したり軽視した美というものはあり得ないと思います。
料金と質
例えば同じく食べ物を扱うからといって、日本食の店とフランス料理の店とどちらの質が高いかと問われたら、“料理の種類ではなく料理人の目指す処により質は変わるから、どちらにも質の良いものも悪いものもある”と答えると思います。
ところで料理について、同じ材料を使っているからといって街の大衆食堂とフランス料理店が同じ味、同じ料金と思う人はいないでしょう?それなりの味にはそれなりの料金というものがあるはずです。しかし妙に安いとかあまりに高いとかは何かヘンと感じるのは正常な感覚です。
矯正治療の場合も同じです。私としては私立大学の料金が大体の目安になると思えば良いのではないかと思います。
ついでに料金の質問で時々あるのが、
1.何でもいいから安ければよい
2.ともかく高ければ間違いない
これらは2つとも勘違いをしているかもしれません・・・。
歯を抜く事
歯を抜かない矯正歯科治療が話題になっている様ですが、歯を抜くか抜かないかは機能と形態を調和させようとすれば必然的に決まる事であり、主義や患者さんが望むから等の理由で決まるものではありません。
私の場合は開始年齢が小児(12才以下・乳歯が残っている)、青年(12才以上16才以下・乳歯は無いが成長途中)、成人(16才以上・成長終了)の順に抜いて治さなければならない割合が増えています。日本企業の近くの病院で日本人の患者さんを治療しているアメリカ人の先生がいます。その先生が抜いて治さなければならない患者さんの比率は、白人15%・日本人40%という学会発表をしました。顎の大きさを前後及び左右に拡げる、奥の歯をもっと後ろに移動する等、出来る事は全て行い客観的に見て、これ以上は出来る事が無いので抜くしかない患者さんが40%はいるという事です。これは信頼できるデータだと思います。
上手いことで定評のある先生が治療して、4割の人は抜かないと歯が並びきれないという事ですから、全ての患者さんを抜かないで治すと断言するには何処かに無理があるのではないかと思うのは不自然でしょうか?できる事とできない事をはっきりするのが自然な気がしますが・・・。
成人矯正と小児矯正、そして矯正歯科
一昔前や二昔前はよく聞かれました。「成人でもできるのですか?子供しかできないのではないですか?」これは同じ歯科医師からの質問です。それに対して私の答えは「骨折が治る人なら何歳でもできます。ただし歯が無い人はできません。」でした。さすがに近頃はこの様な質問は少なくなりました。
また「顎の関節が完成している成人に噛み合わせが変わる矯正歯科治療をすると、関節の具合が悪くなるから矯正治療をしてはいけない」という先生がいます。この先生は噛み合わせを一から再構成しなければならない入れ歯は、関節の具合が悪くなるから造ってはいけない、と言って入れ歯を作らないのでしょうか?きっと「絶対良い入れ歯になる、安心して私に任せて造りなさい。」と言うと思います。噛み合わせを再構成する事には矯正治療も入れ歯を造る事も違いがありません。違いは生きている歯を動かすか、人工の歯を並べるかの違いだけです。
小児や青年と成人との違いは成長している途中か、終了しているかです。成長していれば、使える手段が格段に増えますから、治療の自由度が上がり、結果として抜かない治療の比率が高まります。
機能分析
噛み合わせをよく考えないで矯正歯科治療をすると、上下の歯を別々に見るといかにも良く並んでいる様に見えても、顎の動きと歯の位置の調和が取れていないので、機能と形態が調和しているとは言いがたいのではないかと思います。そのため矯正歯科治療を始める前にアーティキュレーター(写真:患者さんの歯形を使い、顎の動きを再現する機械です)で噛み合わせの状態と顎の動きを予め記録し機能状態を分析します。そうでないと、患者さんを矯正治療が始まる前より機能的に優れた状態にできないと思うし、何が何やら判らない状態で治療が始まってしまいます。
それから治療を始める前にレントゲンフィルムからいわば設計図を書き歯形を使って治療予測模型を作ります。でもこれはコンピューターが素晴らしく、優秀な名人の先生は必要ない場合もあるそうです。
ついでにコンピューターを使ってのデジカメで画像で撮影して加工するシミュレーションは、冷徹な結果ではなく、得てして歯科医師と患者さん両者の幻想に満ちた願望の表現である事が多く見られるので・・・私は行っておりません。
相談に見えられる方へ
相談で疑問が無くならない限り治療には進みません。何度でも相談致しますのでご心配なくおいで下さい。治療は歯科医師と患者さんの双方が協力しないと出来ませんから。
|