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こわれていく肺
肺はスポンジの様な臓器で、このスポンジの一つ一つの目が肺胞と呼ばれる末梢の組織です。肺胞は呼吸によって入ってきた酸素と、血液から不要となった二酸化炭素を交換する重要な役目をしています。肺気腫とはこの肺胞が破壊されていく疾患で、破壊された肺胞は大きな袋となり、大きさは数ミリ程度から、進行していくと数センチにもなります。その結果、肺胞での換気が十分に行えなくなり、慢性的な酸素欠乏状態に陥り、呼吸困難や呼吸不全の原因になります。
若い人も要注意
以前は高齢者に多く発生する呼吸器疾患として考えられていましたが、最近では30から40歳代の人にも、認められることがわかってきました。特に、男性喫煙者の半数以上、40歳未満でもCT画像でみると、4割近くの方が、肺気腫病変があり、加齢と喫煙を重ねるとともに増加しています。
一方、たばこを吸わない人にはほとんどこの病変がみられないため、明らかに喫煙によるタバコ・ディジーズ(たばこ病)と言えます。 |

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写真1/正常肺
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写真2/高度喫煙者の肺
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症状がでれば既に...
・ちょっと動くと息が苦しい。
・咳や痰がずっと続く。
・階段や坂道をのぼると息が苦しい。
・同年代の人の歩くペースについていけない。
このような症状があれば、呼吸器専門医を受診することをおすすめします。既に肺は破壊されているかもしれません。このグラフ(下図)は喫煙者の肺気腫による肺機能の低下を、年齢による自然な低下と比較した有名なデーターです。非喫煙者と比較し、明らかに機能低下を認めるとともに、症状がでるころは、既に機能はかなり低下していることがわかります。また、重要なことは禁煙をすれば機能低下を遅らせることができるということです。 |
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検査は?
1/胸部レントゲン写真 肺が全体的に黒くみえるのが特徴です。(透過性の亢進)また、正常より大きくふくれたような肺にみえます。(過膨張)一般の検診では、これらの所見があってもほとんど指摘されることはありません。なぜなら、現在の検診では肺がんや結核を見つけることを目的にしているからです。
| 2/胸部CT写真 肺胞の破壊像や肺血管陰影がなくなったり細くなったりしています。胸部レントゲン写真で異常がなくても、CTを撮ればより鮮明に破壊像をみることができます。 |

CT検査による肺胞破壊像 |
3/呼吸機能検査 呼吸器専門のクリニックでは容易に呼吸機能のスクリーニング検査(スパイロメトリー)を行うことができます。この検査では肺活量とともに閉塞性の換気障害(気流閉塞)を確認します。肺気腫の早期でも呼気の気速気量曲線(フローボリューム曲線)をみると下降脚の低下が認められます。
治療は?
1/禁煙 喫煙している方はとにかく禁煙です。たばこは肺気腫の発生、進展、増悪にもっとも関係する原因物質です。一日もはやく、肺の破壊をくい止めなければなりません。禁煙が困難であればひとりで悩むより、クリニックでの禁煙指導やインターネットを使った禁煙サポートなどを利用したらよいでしょう。
2/薬物療法 呼吸閉塞障害の改善、呼吸筋力の向上、気道クリーニングの効率化を目的にした薬を使います。
3/酸素療法 高度の肺機能低下があれば、体内の酸素が不足するため、人工的に酸素を投与し補う必要があります。一定の基準以下であれば、在宅や移動時に酸素を供給する装置や酸素ボンベを使用します。
4/呼吸リハビリテーション 酸素療法のみでは、どうしても体力が低下し、寝たきりになることもあります。そういう患者さんにとっては、残された肺の機能や呼吸筋を最大限に使い、上下肢の筋力を訓練するなど呼吸困難を改善するためのリハビリテーションが重要です。
おわりに
肺気腫は慢性気管支炎とともにCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と呼ばれ、タバコ・ディジーズを代表とする呼吸器疾患です。米国では1620万人(1994年)もの患者さんがいますが、日本では22万人(1994年)といわれています。しかし、日本での喫煙率の高さ、喫煙開始年齢の低年齢化、人口の高齢化からますますCOPDは増えていきます。さらに最近の女性喫煙者の増加を考えると、女性患者さんも今後増加していくでしょう。2020年にはCOPD患者は全世界全体の死亡原因の3位になるとの予測もあります。また、肺気腫は肺癌を高頻度に合併します。定期的な呼吸器チェックにより早期に発見するとともに、もう一度、たばこを考えてみましょう
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